アシストグリップがない車に収納・ロッドホルダーを安全に後付けする代用アイデア
「車にアシストグリップが足りなくて、天井収納やロッドホルダーが設置できない」「運転席や後部座席にグリップを後付けしたいけれど、車体に穴を開けるのは抵抗がある」
結論から言うと、車体に直接ネジ穴を開ける加工をしなくても、「トグルアンカー」や「ヘッドレストのシャフト」を活用すれば、数キログラムの荷重に耐えるアシストグリップの代用・後付けは十分に可能です。
ネット上では「ドリルで鉄板に穴を開けてボルト留めする」といった力技のDIYが散見されますが、無理な穴あけは車体の防錆処理を破壊し、将来の車両売却時の査定額を大きく下げる要因になります。また、走行中にパーツが外れると前方不注意や事故の原因にもなりかねません。
この記事では、大切な愛車を傷つけずに積載スペースを拡張する現実的な代用アイデアと、DIY時の安全対策を網羅しました。
アシストグリップ代用の最適解!車を傷つけない3つの後付けアプローチ
運転席や後部座席にアシストグリップが配置されていないからといって、車体の金属部分にいきなりドリルで穴を開ける必要はありません。傷をつけずに頑丈な支点を作る3つの代用アプローチをまとめました。
| 代用アプローチ | 難易度 | メリット | デメリット |
| ヘッドレストシャフト固定型 | ★☆☆(工具不要) | 誰でも1分で設置可能、乗降時のサポートに最適 | 天井付近の高さを活かした収納には使えない |
| メクラ蓋(サービスホール)活用型 | ★★☆(軽作業) | 純正同様の見た目と強度が得られる | 車種によっては蓋が存在しない場合がある |
| 強力トグルアンカー工法 | ★★★(DIY中級) | 内張りの裏にネジ穴がなくてもがっちり固定 | 内張りに小さな穴を開ける必要がある |
1. 「乗降時のサポート」が目的ならヘッドレストを活用
高齢の方の乗り降りを手助けしたい、あるいは運転席での身体の保持が目的であれば、天井ではなく前席のヘッドレストの金属シャフト(棒)に巻き付けるタイプのグリップが最適です。市販のベルト式グリップをカチッと装着するだけで、大人が体重をかけてもびくともしない支点になります。
2. 天井の「メクラ蓋」の有無をチェック
車種によっては、アシストグリップが付いていない場所(運転席など)の天井に、プラスチックの小さなキャップ(メクラ蓋)がはまっていることがあります。これは裏側にネジ穴が用意されている証拠です。キャップを内張りはがしで外せば、カー用品店やホームセンターで買える一般的なM6サイズのボルトで、純正グリップや市販のバーを簡単に後付けできます。
3. ネジ穴がない場合は「ターンナット・トグルアンカー」
メクラ蓋もなく、内張りのプラスチックや布地しかない場所にバーを渡したい場合は、「トグルアンカー(ボードアンカー)」を内張りに挟み込む方法が有効です。
上のイラストのように、傘のように裏側で開いて固定されるため、内張り自体を引きちぎらない限り、数キロ程度の収納バーであれば問題なく支えられます。
【目的別】アシストグリップがない車の天井収納&ロッドホルダー自作法
ケースA:インテリアバーを使った天井収納の自作
キャンプギアやアウターを天井に逃がしたい場合、左右のアシストグリップ(または上記の方法で作った代用支点)に、ホームセンター等で売られている「車載用インテリアバー」を渡すのが基本です。
安全のための積載制限
ネットに載せる荷物は、シュラフ(寝袋)やダウンジャケットなどの「軽くて万が一落ちても怪我をしないもの」に限定してください。硬い工具や重い荷物は、急ブレーキ時に前方に飛び出す危険性があります。
ケースB:釣竿を積む「ロッドホルダー」の自作
アシストグリップがない車にロッドホルダーを自作する場合、インテリアバーを2本渡した上で、建築資材コーナーにある「配管用のU字クランプ」や「100均のシリコン製竿キャッチャー」をバーに組み合わせるのが最も安上がりです。
ただし、ロッド(釣竿)はデリケートです。走行中の微振動でリールや竿先が天井の金属やプラスチックと擦れると、ブランクス(竿の本体)に微小な傷が入り、大物がかかった際の破断原因になります。バーとロッドが触れる部分には、必ず厚手のスポンジテープを貼ってクッション性を高めてください。
3個しかなくて左右非対称?変則的なアシストグリップ配置を解決する「縦バー構造」
多くのミニバンや軽自動車では、「運転席だけアシストグリップがなく、助手席と後部座席の合計3箇所にはある」という左右非対称の配置が一般的です。この状態で天井にそのまま横バーを渡そうとすると、前方のバーが斜めになってしまい、収納スペースが歪んでしまいます。
この変則配置をすっきり解決するアイデアが、「縦方向のロングバー」を先に通すH字型の骨組みです。
後部座席の左右2箇所のアシストグリップの間に、ベースとなる横バーを1本渡します。
その横バーを起点として、フロントシート(運転席・助手席)のヘッドレストシャフトに向けて、縦方向に長いバーを2本突き出すように固定します。
縦バーの先端は、ヘッドレストシャフトに固定したステーやベルトと連結して吊り下げます。
左右対称のグリップがなくても、このフレームを組むことで、運転席側のデッドスペースを潰さずに安定した天井収納やロッドホルダーの土台を構築できます。
強度と安全性のリスク:市販の吸盤・マグネットを使う際の弱点
ネットのDIY動画などで「超強力マグネットや吸盤を使えば、どこにでもアシストグリップが作れる」と紹介されることがありますが、これには実用上の弱点があります。
吸盤タイプの弱点:
車の天井の内張りは、布やフェルトのようなザラザラした素材が多く、吸盤は空気が抜けてしまうため張り付きません。窓ガラスに吸盤を貼ってバーを渡す方法もありますが、真夏の直射日光で車内が70度以上の高温になると、吸盤のゴムが軟化して突然剥がれます。走行中に荷物ごと落下すれば、バックミラーの視界を塞いだり、運転操作を妨げたりして非常に危険です。
マグネットタイプの弱点:
車体の金属部分(鉄板)に磁石をくっつける場合、内張りの厚みのせいで磁力が大幅に減衰します。また、磁石は引っ張る力には比較的耐えられますが、走行時の縦揺れやブレーキ時の慣性(横方向へ滑る力)には弱く、簡単に位置がズレて外れてしまいます。
マグネットや吸盤を使用する場合は、あくまで「ティッシュボックスを吊るす」「軽いアウターを1着掛ける」といった、総重量1kg未満の軽い収納に限定するのが賢明です。
アシストグリップの後付け・代用に関するよくある質問(FAQ)
Q:運転席にアシストグリップをDIYで後付けした場合、車検に通りますか?
A: 基本的に市販品や純正品を正しく取り付けていれば車検には通ります。ただし、乗員の頭部に直接激突するような危険な角度で突出していたり、著しく前方の視界を遮るような固定方法になっている場合は、「突起物」とみなされて不合格になるリスクがあります。ヘッドレスト固定型や、天井の純正位置へスマートに収める後付けであれば問題ありません。
Q:トグルアンカーを使用する場合、内張りが重みで垂れ下がってくることはありませんか?
A: 車種の内張り素材(硬質プラスチックか、柔らかいフェルト系か)によって異なります。フェルト系の柔らかい天井の場合、荷重が1点に集中すると内張りが歪んで垂れ下がることがあります。対策として、トグルアンカーと内張りの間に「大きめのワッシャー(当て板)」を挟み込み、荷重を広い面積に分散させることで垂れ下がりを防げます。
まずは愛車の「内張りの裏側」を指で確認しよう
アシストグリップの代用や天井収納の自作を始めるための最初のステップとして、「グリップを取り付けたい位置の天井を、指で強めに押し込んでみること」をおすすめします。
ペコペコとへこむだけで手応えがない場合は内張りしかありませんが、特定の場所だけ「コンコン」と硬い金属の手応え(車体のフレーム)がある場合、その付近にクリップやネジ穴が隠れている可能性が非常に高いです。まずは裏側の構造を把握し、どの代用アプローチが最適か見極めましょう。
参考文献
国土交通省 道路運送車両の保安基準(内装摩擦要件および頭部衝撃緩和構造に関する規定)
自動車メーカー各社 取扱説明書(アシストグリップ・タイダウンフック等の最大耐荷重に関する記載)
内装ピン・ブラインドファスナー製造メーカー 技術仕様書(トグルアンカー・ターンナットの引張強度データ)