アクリル絵の具の代用おすすめ5選!水彩やポスターカラーは使える?画材の選び方を徹底解説
「今すぐ絵を描きたいのに、アクリル絵の具の特定の色を切らしてしまった…」「他の絵の具で代わりに塗ったらどうなる?」とお困りではありませんか?
アクリル絵の具は、優れた速乾性と「乾くと水に溶けなくなる(耐水性)」という独自の強みを持つ画材です。結論から言うと、完全に同じ性質を持つ代用品はありませんが、画用紙などの「紙」に描く場合や、一時的な工作であれば、ポスターカラーや水彩絵の具で十分に代用可能です。
しかし、素材や用途選びを間違えると、「絵の具が弾かれて塗れない」「乾いた後にボロボロ剥がれてきた」といった悲惨な失敗を招くこともあります。
この記事では、各種画材の情報を交え、アクリル絵の具の正しい代用アイデアと、失敗しないための「素材別の選び方」を徹底解説します!
【比較表】アクリル・ポスターカラー・水彩絵の具の決定的な違い
アクリル絵の具の代用を考える上で、学校や趣味でよく使われる他の絵の具との「成分・性質の違い」を正しく理解しておくことが失敗を防ぐ最大の近道です。
もっとも大きな違いは、「固まる成分(固着材)」と、それに伴う「乾いた後の耐水性」「不透明性(下の色を隠す力)」にあります。
画材の性質・特徴スペック比較一覧
| 絵の具の種類 | 主な固着材(成分) | 乾いた後の耐水性 | 重ね塗りのしやすさ(隠ぺい力) | 適した描画対象(素材) |
| アクリル絵の具 | アクリル樹脂エマルション | あり(水に溶けない) | 高い(下の色が透けない) | 紙、木、布、石、プラスチック、金属など |
| ポスターカラー | アラビアゴム(水溶性) | なし(水で溶ける) | 高い(下の色が透けない) | 紙、木(浸透する素材のみ) |
| 透明水彩絵の具 | アラビアゴム(多め) | なし(水で溶ける) | 低い(下の色が透ける) | 画用紙、水彩紙 |
| 不透明水彩(ガッシュ) | アラビアゴム(少なめ) | なし(水で溶ける) | 高い(下の色が透けない) | 画用紙、イラストボード |
【解説:なぜアクリルだけが乾くと固まるのか?】
アクリル絵の具に含まれる「アクリル樹脂エマルション」は、水分が蒸発すると樹脂粒子同士が固く結びつき、強固なプラスチック状の膜(塗膜)を形成します。そのため、乾いた後は水をかけても絶対に溶けません。一方、ポスターカラーや水彩絵の具に使われる「アラビアゴム」は水溶性の糊(のり)であるため、乾燥後も水に触れると簡単に再溶解します。
アクリル絵の具の代用アイデア5選とメリット・デメリット
実際に紙やさまざまな素材に塗って検証した結果をもとに、アクリル絵の具の代わりとして使える5つの画材を、メリット・注意点・検証エピソードと共にご紹介します。
1. ポスターカラー(サクラポスターカラーなど)
もっとも再現度が高く、おすすめの代用品です。発色が鮮やかで、アクリル絵の具(特にアクリルガッシュ)のように不透明でムラなく均一に塗ることができます。
メリット: 下の色をしっかり覆い隠せるため、アニメの背景画のようなパキッとした表現が可能。
注意点: 耐水性がないため、乾いた後に何度も筆を往復させて重ね塗りをすると、下の色が溶け出して濁ります。
💡アドバイス:
ポスターカラーで描いたイラストの仕上げに、保護目的で「水性グロスニス」をハケ塗りすると、ニスに含まれる水分でポスターカラーの輪郭がドロドロに溶け出し、作品が台無しになってしまいます。ポスターカラーで代用する場合は、「一発描きで仕上げる」「仕上げのコーティング(ニス等)は行わない」というルールを徹底してください。
2. 透明水彩絵の具・マット水彩絵の具
小学校の写生大会などで広く使われている、もっとも身近な絵の具です。
メリット: 水の量を変えることで、透明感のある美しいにじみや、グラデーションが表現できます。
注意点: アクリル絵の具のような「厚塗り」や「下の色を完全に隠す表現」はできません。
💡アドバイス:
水彩絵の具は、重ねれば重ねるほど色が暗く濁っていく性質(減法混色)があります。アクリル絵の具の感覚で「上から白や明るい色を重ねて修正しよう」としても、下の色が透けてしまうため修正が効きません。水彩絵の具で代用する際は、明るい部分を塗り残すようにして、薄い色から順に塗り進める工夫が必要です。
3. 不透明水彩絵の具(ガッシュ)
水彩絵の具の中でも顔料(色の粉)の比率が高く、不透明に仕上がる画材です。
メリット: 見た目のマットな質感や、重ね塗りのしやすさはアクリルガッシュとほぼ同等です。
注意点: やはり乾いた後は水に溶けるため、野外に飾る看板や、水拭きする雑貨のペイントには不向きです。
💡アドバイス:
厚塗りをしすぎると、乾燥したときにアラビアゴムの固着力が耐えきれず、表面がひび割れてポロポロと剥がれ落ちてしまうことがあります。アクリル絵の具のような立体的な「盛り上げ技法」の代用としては使えません。
4. ポスカ(三菱鉛筆などの不透明水性サインペン)
DIYや小物のワンポイント塗装において、非常に優秀な代用品となります。
メリット: インクの主成分が不透明な水性顔料のため、乾くと高い耐水性を発揮します。プラスチック、金属、ガラスにもしっかり定着します。
注意点: 広い面積を塗るとペン跡(塗りムラ)が残りやすく、パレットの上で色を混ぜ合わせることができません。
💡アドバイス:
プラスチック材にポスカで絵を描くと、手汗の油分がついている部分はインクが丸く弾かれてしまいます。ポスカを絵の具代わりに使う場合は、事前にアルコールウェットティッシュ等で塗布面の油分を完全に拭き取っておくことが、綺麗に定着させるコツです。
5. 油絵の具
本格的な絵画表現、重厚な質感を表現したい場合の選択肢です。
メリット: アクリル絵の具以上のツヤ、重厚な質感、立体的な盛り上げ(インパスト)が可能です。
注意点: 完全に乾くまでに数日〜数週間かかります。また、薄めるには水ではなく専用の画用油(ペインティングオイル)が必要です。
💡アドバイス:
油絵の具は、紙に直接塗ると油分が紙に染み込んでしまい、数年後に紙が酸化してボロボロに劣化(腐食)してしまいます。もし紙に油絵の具を塗る場合は、事前にアクリルジェッソ(下地材)を塗って紙を保護するか、油絵専用の紙・キャンバスを使用する必要があります。
【用途別・素材別】あなたに最適な代用画材の選び方ナビ
「結局、自分のやりたいことにはどれが使えるの?」という疑問に答えるため、目的別の最適解をチャート形式で整理しました。
「画用紙に、ムラなくはっきりしたイラストを描きたい」
👉 ポスターカラー、または不透明水彩(ガッシュ)がベスト。
「学校の提出物や、手軽なスケッチをしたい」
👉 透明水彩絵の具・マット水彩絵の具で対応可能。
「プラスチック、金属、ガラス、樹脂粘土に色を塗りたい」
👉 ポスカ(水性サインペン)一択。※他の水性絵の具は弾かれます。
「スニーカーやTシャツなどの『布製品』にペイントしたい」
👉 代用不可。 水彩やポスターカラーは洗濯で全て流れ落ちてしまいます。
代用時に絶対やってはいけない2つのNG行為
アクリル絵の具の代わりに他の画材を使用する際、予期せぬ化学反応やトラブルを防ぐために、以下の行為は絶対に避けてください。
NG①:アクリル絵の具とポスターカラー(水彩)を混ぜて使う
「アクリル絵の具の白が足りないから、ポスターカラーの白をパレットの上で混ぜて使おう」とするのは厳禁です。
樹脂で固まるアクリル絵の具と、水溶性の糊で固まるポスターカラーを混ぜると、絵の具の成分が化学的に拒絶反応を起こし、ドロドロとした不溶性の「ダマ(塊)」になって分離します。筆も傷み、塗膜が著しく弱くなって乾いた後にボロボロと剥がれ落ちる原因になります。
NG②:樹脂粘土などの油分・水分を含む素材にポスターカラーを塗る
フィギュア作りなどで人気の「樹脂粘土」や「ポリマークレイ」の着色に、ポスターカラーや水彩絵の具を使うのは避けましょう。
樹脂粘土の表面は油分を含んでいるため、水溶性のポスターカラーは水分が綺麗に馴染まず、表面で丸く弾かれてしまい定着しません。 無理に厚塗りしても、粘土が乾燥して収縮する際に、絵の具だけがペリペリと剥がれてしまいます。樹脂粘土への着色は、アクリル絵の具(または乾燥後のポスカ)が必須です。
安く・安全に済ませたいなら、代用よりも「ダイソー(100均)」が最適解
もし「アクリル絵の具を買い足す予算を抑えたい」「少しの量しか使わないから、わざわざ高い画材を買いたくない」という理由であれば、他の画材で無理に代用して失敗するよりも、ダイソーなどの100円ショップでアクリル絵の具を購入するのが、コストパフォーマンス・安全性の両面で最もおすすめです。
ダイソーのアクリル絵の具が優秀な理由
驚きの1本110円(税込): 白、黒、赤、青、黄といった主要な基本色が手軽に揃います。
メーカー品に劣らない基本性能: 100均だからといって侮れません。乾燥後はしっかり耐水性になり、重ね塗りも美しく仕上がります。ホビーのDIYや子供の工作には十分すぎるクオリティです。
使い切りに便利な多色ミニセット: 店舗によっては、数ミリリットルずつ多くの色が入ったセットも展開されており、「少しだけアクセントに使いたい」というニーズに最適です。
無理に異なる性質の画材を混ぜたり、弾かれる素材に塗って失敗するリスクを冒すくらいなら、近くの100均の画材コーナーへ足を運ぶのが一番の近道です。
まとめ:画材の特性を理解して安全に創作を楽しもう
アクリル絵の具の代用は、描く対象が「紙」であればポスターカラーや水彩絵の具で十分に補うことができます。しかし、プラスチックや布、粘土といった「紙以外」の素材に対しては、アクリル樹脂特有の固着力が必要不可欠です。
それぞれの画材が持つメリットと注意点を理解し、ご自身の用途に合った最適な方法を選択してくださいね。
参考文献リスト
サクラクレパス 公式サイト「画材の特性と成分について」
三菱鉛筆 公式サイト「POSCA(ポスカ)の特性とご使用上の注意」
ターナー色彩 公式サイト「アクリルガッシュとポスターカラーの違い・混色における注意点」
ホルベイン画材 公式総合カタログ「各種絵具(アクリル・水彩・油絵具)の固着材と支持体の適合性」