【ヤマハ】ロッキンマジックプロ2(RM-Pro II)の適合アーム特定ガイド|欠品時の代用品と取付調整手順

1980年代後半から1990年代にかけてヤマハのRGXやRGZシリーズに搭載された独自ブリッジ「Rockin' Magic Pro II(ロッキンマジックプロ2 / RM-Pro II)」。中古市場で本体を手に入れたものの、アームが欠品していてトレモロ機能を使えずに困っているケースは少なくありません。

当時のヤマハ純正パーツ(部品番号:2LE2 1B)はメーカー在庫が払底しており、入手が極めて困難です。当時の製品仕様書に基づき、適合する代用アームのスペックと、装着時の調整方法を解説します。

RM-Pro II に適合するアームの仕様一覧

RM-Pro IIのソケットに適合するスペックは以下の通りです。

  • タイプ: 差し込み式(プッシュイン・タイプ)

  • 軸径: 5.0mm(一般的なフロイドローズ用の6mmは入りません)

  • 固定方式: ブリッジ後方(ファインチューナー下部)にあるイモネジ(トルク調整ネジ)で保持

  • 入手可能な代用品: SCUD(スカッド)製「ARM-B50P」(クロームはARM-C50P)、ESP製「ARMED-50P」

※サードパーティ製パーツは100分の数ミリ単位の個体差があるため、差し込み部分の微調整(研磨)を前提として選択する必要があります。

1. Yamaha RM-Pro II 独自規格のパーツ仕様

1980年代後半、ヤマハは自社工場や協力工場で独自のロック式トレモロを開発していました。その中核を担ったRM-Pro IIは、後年のモデルや他社製の一般的なロック式ブリッジとは規格が異なります。

当時のヤマハ公式パーツリストによると、RM-Pro II用アーム(2LE2 1B)は、後継のRM-Pro IIIや、同時期の普及型ブリッジ「TRS-101」などとの互換性はありません。

ブリッジ名称軸径先端形状固定方式主な搭載機種
RM-Pro II (対象)5.0mm平坦プッシュイン(後方イモネジ固定)RGX1212, RGZ-I, RGZ-II など
RM-Pro III5.5mm〜6.0mm溝ありスナップリング固定Pacifica 912, Pacifica 1221 など
TRS-1016.0mmネジ切りありキャップ締め込み式(スクリュー)RGX512J, MG-MII など
Floyd Rose Original6.0mmネジ切りありキャップ締め込み式(スクリュー)各社ハイエンドモデルなど

RM-Pro IIは「5mm径」という非常にタイトな設計です。ネット上の情報で混同されやすい「TRS-101用」や、現行の汎用アーム(5.5mmや6mm)を無理に差し込むと、ブリッジ側のソケットに過度な負荷がかかり、歪みや破損の原因になります。

2. RM-Pro II で代用できる現行パーツ候補

現在、新品で購入できるリプレイスメントパーツの中で、互換性を確認できているモデルは以下の2つです。

候補①:SCUD ARM-B50P / ARM-C50P(5mmプッシュタイプ)

国内のパーツブランドであるSCUDが展開する5mm径の差し込み式アームです。市場での流通量が多く、最も入手しやすい選択肢です。

  • 特徴: 軸径が5mmで設計されているため、基本形状はそのまま適合します。純正(2LE2 1B)に比べてアームの立ち上がり角度がやや深く(高く)設計されているため、装着時にアームがボディから少し離れた位置になり、演奏時のホールド感に変化が生じる場合があります。

候補②:ESP ARMED-50P(5mmプッシュタイプ用)

ESPの一部のトレモロユニットに採用されている5mm径アームです。

  • 特徴: メッキ処理の精度が高く、ソケットに対してタイトに収まる傾向があります。楽器店での店頭在庫は少ない傾向にあり、基本的には取り寄せでの入手となります。

3. 代用アームを取り付ける際の手順と微調整

「5mm径」と表記されている製品であっても、社外品パーツには微小な製造誤差(個体差)があり、そのままでは「ソケットへの入りが硬い」「奥まで入らない」という現象が起こります。以下の手順に従ってフィッティングを行ってください。

  1. トルク調整ネジの開放

    アームを差し込む前に、ブリッジ後方(ファインチューナーの真下付近)にある、アーム固定用のイモネジ(1.5mmレンチを使用)をしっかりと緩めます。ここが締まったままだとアームは入りません。

  2. デジタルノギスでの計測

    購入したアームの軸径を計測します。5.03mm〜5.05mmなど、僅かに5mmを超えている場合は無理に押し込まず、ソケット内部を傷つけないよう次の研磨工程に移ります。

  3. サンドペーパーによる研磨

    1000番〜1500番の耐水ペーパーに潤滑油(ミシン油やCRCなど)を少量つけ、アームの差し込み部分(先端から約3cmの範囲)を均一に軽く磨きます。0.01mm単位で表面を整えるイメージで、少し磨いてはソケットへの入り具合を確かめる作業を繰り返します。

  4. グリスアップ

    スムーズに奥まで入るようになったら、ソケット内部やアーム先端に少量のシリコングリスを塗布します。これによりスムーズな抜き差しが可能になり、内部の摩耗やサビを抑えられます。

  5. トルク(回転の固さ)の調整

    アームを好みの深さまで差し込んだら、最初に緩めたブリッジ後方のイモネジを締め、アームを動かしたときの回転の固さを調整します。

4. よくある不適合例と注意点

  • 「フロイドローズ用」の流用

    ECサイト等で流通している「Floyd Rose互換」の多くは6mm径、またはキャップを上から締め込むスクリュー式です。RM-Pro IIには物理的に入りません。

  • RM-Pro III用アームの流用

    名称が類似している後継のRM-Pro III用は軸が太くなっており、加工なしでの装着は不可能です。

  • ソケット自体の交換に伴うリスク

    「ソケットごと現行品に変える」という方法を選択する場合、ヤマハのベースプレートは穴径が特殊です。現行のGOTOH製ソケット等を取り付けるには、ベースプレート側の穴を広げる拡張加工(旋盤やボール盤による金属加工)が必要になり、機材へのダメージや加工ミスのリスクが伴います。

5. RM-Pro II のアームに関するFAQ

Q. 純正アーム(2LE2 1B)をどうしても手に入れたい場合は?

A. 中古市場やオークションサイト、フリマアプリ等で「2LE2 1B」のデッドストック品、またはパーツ取り用のジャンクブリッジが出品されるのを待つ方法があります。ただし、流通数は極めて少なく、価格も高騰する傾向にあります。

Q. イモネジを緩めてもアームが全く入らない原因は?

A. 過去のオーナーが異なる径のアームを無理に差し込んだことで、ソケット内部に変形やバリが生じている可能性、あるいはソケット内部で古いグリスが固着している可能性があります。内部をクリーナーで洗浄し、目視で異物や変形がないか確認してください。

Q. アームを固定するイモネジがなめてしまって回らない時は?

A. 1.5mmの六角穴が潰れている場合、ネジ取り外しの専用工具(精密ビス用のエキストラクター等)を使用するか、固着している場合は浸透潤滑剤を塗布して時間を置いてから回す必要があります。ネジ頭を完全に破壊するとトルク調整ができなくなるため、慎重な作業を要します。

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