アース線をVVFケーブルで代用する際の注意点と色ルール|緑以外の見分け方を解説

家電の設置やコンセント増設時、「手元に緑色のアース線がないけれど、余っているVVFケーブルの白や赤をアース線の代わりに使ってもいいの?」という疑問を抱く方は少なくありません。

結論から言えば、VVFケーブルの芯線をアース線(接地線)として代用することは法令上可能ですが、厳格な「識別のルール」を守らなければ重大な違反や事故に繋がります。本記事では、電気設備技術基準および内線規程に基づいた正しい代用条件と、将来の感電・火災リスクを防ぐための「見分け方(識別マーキング)」の技術を、作業時の注意点を交えて徹底解説します。

【最重要】施工前に確認!電気工事士法による規制とDIYの境界線

電気配線作業において最も重要なのは安全の確保です。コンセントの裏側や分電盤(ブレーカー)の結線作業は、「第二種電気工事士」以上の資格が法律(電気工事士法)で義務付けられています。

無資格者による電気工事は法令違反(罰則の対象)となるだけでなく、万が一の火災時に火災保険が適用されない重大なリスクがあります。必ず資格保持者が作業を行うか、専門の電気工事業者に依頼してください。

⚠️ 無資格でもできる作業と資格が必要な作業の境界線

  • 【資格が必要(無資格NG)】:壁内の配線、コンセント本体の交換、コンセント裏側の端子への結線、分電盤内での増設・接続作業。

  • 【無資格でも可能(OK)】:家電製品(洗濯機・電子レンジ等)に付属している緑色のアース線を、コンセントの表面に露出しているアース端子(ネジ)に接続する作業。

1. アース線にVVFケーブルは代用可能?法令上の根拠と太さの規定

電気工事の基準となる『電気設備技術基準』および『内線規程』の観点から、VVFケーブルをアース線として流用する際の条件を解説します。

法令上の解釈

アース線(接地線)には原則として「緑色」の絶縁電線を使用することが推奨されていますが、VVFケーブル(平形ビニル絶縁ビニルシースケーブル)の内部芯線(黒・白・赤)をアース線として使用することは禁止されていません。 適切な識別処置を行えば、法令上も問題なく代用可能です。

代用時の必須条件:電線の太さ(断面積)の規定

アース線として代用する芯線は、接続する回路の遮断器(過電流遮断器・ブレーカー)の容量に応じた太さを確保しなければなりません(内線規程による制限)。

回路の定格容量必要なアース線の太さ(銅線直径)適合するVVFケーブル

15A・20A回路


(一般的なコンセント・エアコン等)

直径 1.6mm 以上VVF 1.6mm の芯線で適合

30A回路


(IHクッキングヒーター等)

直径 2.0mm 以上VVF 2.0mm の芯線で適合

住宅内の一般的な100Vコンセント増設であれば、余っている VVF 1.6mm や 2.0mm の芯線はアース線として十分な仕様を満たしています。

2. 構造から学ぶ「接地側電線(白)」と「接地線(アース)」の決定的な違い

名前にどちらも「接地」と付くため混同されやすいですが、「接地側電線」と「接地線(アース)」は電気回路上の役割が根本的に異なります。 この違いを誤解すると、思わぬ感電事故を招きます。

【電気の通り道と安全装置の全体図】
[電源/分電盤] ───(電圧側:黒)───> [ 家電製品 ] [電源/分電盤] <───(接地側:白)─── [ 家電製品 ] ※普段電気が行き来するルート │ [アース端子] ───(接地線:緑)───> [ 大 地 ] ※異常(漏電)時だけの緊急脱出口
項目接地側電線(中性線 / N)接地線(アース / E)
回路上の役割回路の一部。普段から電気が行き来するための通り道。機器が故障(漏電)した際、異常な電気を大地へ逃がす安全装置。
通常時の電流常に流れている(触ると感電のリスクあり)。流れていない(漏電時以外は電気はゼロ)。
標準の電線色白色(固定)緑色(代用時は白や赤に緑テープ処置)
接続する端子コンセントの「W」側(正面から見て左の長い穴)コンセントの「E」端子(アースネジ・アース穴)

3. 【実務必須】緑色以外の芯線をアースに代用する際のデザイン・識別ルール

VVFケーブルには通常「黒・白」または「黒・白・赤」の芯線しか含まれていません。これらをそのままアース線として結線すると、将来メンテナンスを行う別の技術者が「電圧がかかっている線」や「通常の接地側電線」と誤認し、重大な二次災害を引き起こす原因になります。

現場で厳守すべき「識別処置」

内線規程では、接地線(アース)に緑色以外の絶縁電線を使用する場合、「端子付近で緑色のテープ等により識別すること」と明記されています。

芯線の色本来の用途アース代用時の識別処置と判断
黒色電圧側(非接地)誤認時の危険性が極めて高いため、原則としてアースへの代用は非推奨
白色接地側(中性線)両端の末端に緑色のテープを巻いて識別すれば代用可能。
赤色電圧側(3路回路等)両端の末端に緑色のテープを巻いて識別すれば代用可能。

⚠️ 使用するテープに関する重要注意点

識別に用いるテープは、必ず「電気絶縁用ビニールテープ(緑色)」を使用してください。紙製のマスキングテープや養生テープ、文房具のセロハンテープなどは、経年劣化による剥がれや、湿気による絶縁性の低下・ベタつきが発生するため、保安上絶対に使用してはなりません。

無印施工が招く危険な失敗例

現場では「手元にテープがないから、とりあえず白線をアースに繋いでそのまま隠した」という不適切な施工が散見されます。

数年後、別の業者がコンセントの点検や交換で壁裏を分解した際、その白線を「通常の接地側電線(安全な線)」と思い込んで触れてしまうケースがあります。もしその時、接続されている家電製品が内部で漏電していた場合、アース線として機能していた白線から作業者の身体を経由して大地へ電気が流れてしまい、激しい感電事故に直結します。

緑テープによる識別マーキングは、自分自身だけでなく「未来の作業者の命」を守るための義務です。

4. 有資格者向け:VVFケーブルをアース線として安全に施工する4ステップ

第二種電気工事士の有資格者が、実務や自宅のDIY(施工範囲内)で行う標準的なワークフローです。

① 必要な電線本数の計算と選定

アース付きコンセント(接地極付・接地端子付コンセント)を新設する場合、壁内を通す電線は合計3本(電圧側・接地側・アース)が必要です。

  • 施工方法としては、「3芯のVVFケーブル(1.6mm以上)」を1本通す(黒を電圧、白を接地側、赤をアースに代用)のが最もスマートで一般的です。

  • 手元に2芯のVVFしかない場合は、「2芯VVF(電源用)」とは別に「1芯のIV線(アース用・緑)」を同じ経路に引き回します。

② 外装の剥ぎ取りと緑色テープの巻き方(見本)

VVFケーブルの外装(灰色のシース)を必要分剥ぎ取り、アースに代用する芯線(例:赤線)を露出させます。

コンセントボックス側、および分電盤(またはジョイントボックス)側の両方の末端付近に、緑色の電気絶縁用ビニールテープを3cm〜5cmの幅で、元の芯線色が完全に見えなくなるように隙間なく巻き付けます。

③ 端子への確実な接続

ストリッパー等で先端の絶縁被覆を剥き、芯線を露出させます。コンセント裏面のアース端子(E)へ確実に差し込むか、ネジ止め結線を行います。ボックスを開けた際に、緑色のマーキングが誰が見ても一目で視認できる位置に収まっていることを確認します。

④ 施工後の絶縁・接地抵抗測定(安全確認)

結線完了後、壁にコンセントを固定する前に、必ず回路の絶縁抵抗測定および接地抵抗計(アーステスター)による測定、またはテスターでの電圧確認を行い、正しくアースが大地と繋がっているか、他の電圧線と混触していないかを電気的に確認します。

5. VVFケーブルのアース代用でよくある質問(FAQ)

Q. 被覆を剥いた銅線(裸線)のまま、壁の中にアースとして配線してもいいですか?

A. 屋内配線において、絶縁被覆のない裸銅線の状態で長く引き回すことは絶対に避けてください。

壁の内部にある建築金物(メタルラスや軽量鉄骨)や、他の電線のキズ部分と接触した場合、漏電や火災、建物の金属部分が帯電する原因になります。必ず白や赤などの絶縁被覆がある状態のまま配線し、接続する先端の数センチのみを露出させてください。

Q. 2芯のVVFケーブルの「白をアース」「黒をプラス(電圧)」にして、これ1本でアース付きコンセントを配線できますか?

A. できません。本数が不足しています。

100Vの電気製品を稼働させるためには、電源として「電圧側(黒)」と「接地側(白)」の2本の電線が絶対に必要です。アース線は、それらとは完全に独立した「3本目の電線」として配線しなければなりません。

2芯のVVFしか手元にない場合は、もう1本アース専用の電線を並走させるか、新しく3芯のVVFケーブルを用意して施工してください。

参考文献リスト

  • 経済産業省「電気設備に関する技術基準を定める省令」

  • 日本電気協会「内線規程(JEAC 8001)」

  • 電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)

  • 電気設備技術基準の解釈について(産業保安グループ・電力安全課)