美味しいレモンの見分け方 鮮度?品種?それとも無農薬?

皮ごと食べられるレモンは国産と言われています。
では、国産の中から選ぶには何を基準にすればいいのでしょう。

香味・価格・安全性の面から調べてみました。




新鮮なレモンはコレ!


購入する時にまず見るべきポイントは、鮮度です。

果物や野菜に含まれるビタミンCは時間の経過と共に失われていきます。
以下は、香りと健康効果を効率よく得るための目安です。

◎ 香りが強いもの
◎ 皮にハリがあり、ヘタが緑色
◎ 色形が良く表面が滑らか
◎ ずっしりと重い

逆に避けるべきものは、

× 皮に弾力がない
× 実が長細く色つやが悪い
× 傷やシワ、黒い部分(カビなど)がある

収穫したばかりのレモンは皮がやや厚いですが、しばらく置いておくと薄くなります。
それと共に果汁が増えて実が重くなります。
逆に軽いものは水分が抜けてスカスカの古い実です。

果汁をたくさん使う予定ならば重みを感じるものを探してください。
両手に同じくらいの大きさのレモンを二つ取ると重さの比較ができます。

完熟レモンの目安は、指で軽く押して弾力のあるものです。
軟らかすぎるものは腐敗が始まっている証拠なので注意してください。

表皮の色味が褪せているのも、古くなっているサインです。
かといって、むやみとテカテカしているのも残留農薬の疑いがあります。

逆に色むらがあり皮もデコボコしているものは無農薬です。
見た目は悪いですが、味と安全性に関しては折り紙付きです。

ところで、店頭に並んでいるレモンは「もぎたて」ではありません。

柑橘類は未熟なうちに収穫され、貯蔵してから出荷するのが一般的です。
これは香りが持続するように木の上で完熟するのを避けるためです。

ですから、ここでいう"新鮮"は"畑から直送"という意味ではありません。

ノーワックスじゃなくてもOK


ノーワックスの商品は説明欄やポップにその旨が書かれており、すぐに見つかります。
しかし、現在のワックスは天然成分から作られているもので害はありません。

水洗いするだけですぐに落とせます。

また、レモン自体が皮からワックス状の物質を分泌することがあります。
これも自然な働きなので気にすることはありません。

レモンティーの輪切りレモンの周囲に浮かぶ油のようなものは精油です。
レモンの香りのもとであり、皮に含まれる成分なのでこれも無害です。

むしろ、本当に注意しなければならないのは防カビ剤です。

表示の確認を忘れないで


日本のレモン自給率は10%前後で、国内流通量の9割が外国産です。
その内の約6割がアメリカ産、約3割がチリ産です。

チリは果物の輸出に関しては南半球最大を誇る国で、安全性をアピールしています。
が、輸入レモンのほぼすべてが防カビ剤使用しています。
できる限り皮ごと食べるのは避けましょう。

例外的にポストハーベストを行っていないのはニュージーランド産です。
防カビ剤不使用の場合は、ノンケミカルレモンとして販売されています。

外国産で一括りにせず、表示をよく確認することが大切です。

防カビ剤を使用したものを見分けるには外装や値札、陳列棚のポップを見てください。
ポストハーベストは表示義務が定められているため、必ず記載されているはずです。

<表示例>

「防腐剤使用」
「防カビ剤OPP、TBZ、イマザリル使用」

輸入レモンでこの表示がなければニュージーランド産か、単に記載ミス(違反)です。
意図的に表示していない悪質な小売店もあるようです。

基本的に輸入果物で防カビ剤を避けるのは難しく、国産を買うしかありません。
初めから外国産を置いていないグリーンコープなら、表示を確認する手間が省けます。

通常は、バラ売りの商品にまで食品添加物の記載を行うことはありません。
防カビ剤が特例措置になっているのは、それだけ危険ということでしょう。

ところが、同じものでも農薬として栽培中に使用した場合は表示義務はありません。
そうなると未使用か否かは確認しようがなくなります。

その上、外国産レモンは加工食品にもよく使用されています。
市販の100%果汁やレモンピールの原料が国産とは限りません。

「防カビ剤未使用」と表示しながらIMZが検出されたポッカレモンの例もあります。

完全に避けようとすると「レモン果汁入り」製品の全てを疑うことになるでしょう。
飲食店で使用されるレモンも、殆どが安価な外国産と考えられます。

例えば唐揚げにレモンを搾る際、皮を下向きにした方が香りが強くなります。
それは皮から香り成分が噴き出て料理に噴きかかるためです。

しかし輸入レモンの場合は、有害成分も同時に噴き出します。
居酒屋でこの絞り方を実践するのは止めた方がいいかもしれません。

甘いのはマイヤーレモン


通な人は品種や産地で味や大きさに違いがあることに気が付くでしょう。
栄養素は同じですが、含有量は栽培環境により微妙に異なります。

甘いもの、種無し…と言う風に、品種でレモンを選ぶのも良いですね。


リスボン

サンキストレモン(カリフォルニア産)の品種です。
香りと酸味が強く、果汁を多く含んでいます。
ポルトガル原産で寒さにも暑さにも強い丈夫な品種です。
レモン畑と言うと海に面しているイメージですが、リスボンは内陸部で育てられます。

ユーレカ

味も見た目もリスボンとよく似ており、旬が長く一年中入手可能です。
耐寒性に乏しいものの、太平洋岸沿いを中心に世界的に人気の品種です。
時期により、南アフリカ産の他にカリフォルニア産や国産を目にすることができます。

マイヤー

メイヤーとも呼ばれ、リスボンよりもやや大きくふっくらとした外観をしています。
何より特徴的なのが完熟すると皮がオレンジ色になる点です。
味は酸味が少なく糖度が高い傾向にあります。
主にニュージーランドで栽培され、外国産では珍しく防腐剤が使用されていません。
皮ごと使いたい時に国産の代用として有用です。

菊池レモン

実が大きくマイルドな酸味を持つ日本生まれの品種です。
小笠原産(通称:島レモン)は、この品種を青いうちに収穫したグリーンレモンです。
八丈島産の八畳フルーツレモンは、同じ品種を完熟させてから収穫しています。
他の品種との違いは、青い方が皮が薄いことです。
熟して黄色い方が全体的に厚みがあり、酸味も落ち着いています。


国産はリスボンとビアフランカが一般的で、ハウス栽培ではユーレカが主力です。
ところによってはマイヤーも栽培されています。

国産レモンは基本的に、外国産よりも糖度が高く酸味がまろやかです。
外国産は未熟なうちに収穫されるので、マイヤーを除き酸味が強いのがほとんどです。

対して完熟まで収穫を遅らせることができる国産は、甘味だけでなく芳香が増します。
輸入レモンとの糖度の差は1~2度で、時としてミカンと並ぶほど甘くなるようです。

酸っぱい方が好みの人は、国産のグリーンレモンかアメリカ産がおすすめです。

完熟レモンは果肉部分の色味も濃く、輪切りにすると盛り付けで映えます。
グリーンレモンは香りを楽しむのにうってつけです。

用途に応じて使い分けてください。

グリーンレモンとレモンの違い


ライムに似た緑レモンの名前は、グリーンレモンフレッシュレモンといいます

色で品種が違うわけではなく、シーズン初期に収穫されたものが青いのです。
極早生ミカンや青ゆずと同じと考えてください。

私たちがレモンと聞き黄色を思い浮かべるのは、輸入品を見慣れているためです。

レモンは一般的に寒害を避けるために青いうちに収穫されます。
海外でも未熟な状態で収穫されますが、輸送期間中に色が変わってしまいます。

日本で流通する多くが外国産のため黄色のイメージが定着してしまったのです。
裏を返せば、グリーンレモンは「採れたて・国産」の目印です。

ただし、この色は期間限定で12月を過ぎると黄色になります。
10月から1月頃までしか見られないため、購入時期に注意してください。

グリーンレモンで有名なのは“青いレモンの島”の異名を持つ愛媛県の岩城島です。
この島で育てられたレモンは「エメラルドグリーンの宝石」と称されています。

グリーンレモンの使い方


レモンは成熟度に応じて微妙に香りと酸味が変化します。
グリーンレモンは爽やかな香りと深みのある酸味が特徴で、焼き魚と相性が良いです。

反面、若い実なので皮が厚くて硬いです。
手で絞るのは難しいので、搾り器を使用してください。

3月頃になると甘くジューシーな完熟レモンが出回ります。

シーズン末期のレモンはサイズが大きめで果肉まで淡い黄色に色づいています。
香りも酸味もまろやかで料理に使いやすいでしょう。

緑と黄色が混ざっているのは熟していく途中のもので、食味は変わりません。
青と黄色、それぞれの長所を活かして活用してください。

緑のレモンを黄色にする方法


シーズン初期は基本的に緑色のレモンしかないですが、黄色に変えることも可能です。

皮の緑色はクロロフィル、黄色はカロチノイドという色素によるものです。
色が変わる原理はバナナと一緒なので放っておくだけで色が変わります。

緑のものでレモン酢を作っても次第に黄色に変わり、見た目に問題はありません。

もう一つ、リンゴやバナナと一緒にビニール袋に入れて保存する方法もあります。
リンゴやバナナが放出するエチレンガスが熟成を早めてくれます。

エチレンガスは栽培中に色づきを早めるために利用されることもあり無害です。

熟すと皮の硬さと酸味が和らぎますが、レモンは追熟しないため鮮度も落ちます。
青いうちにしか味わえない魅力もあるので、できればそのままお使いください。

国産レモンはどこで買える?


国内の特産地は広島愛媛です。
レモンは湿度と寒さに弱く、温暖で降雨量の少ない土地でなければ生育できません。

この気象条件に当てはまるのは九州瀬戸内海沿岸部和歌山県などです。
ミカン科の植物だけあり、柑橘類の栽培が盛んな地域で特産になっています。

日本での栽培は明治初頭に和歌山県で始まり、次いで瀬戸内海地域に伝わりました。
以降は暫く好調でしたが、1964年の輸入自由化や災害で生産量が一時低迷します。

しかし件の防カビ剤が問題視されたことで、再び国産レモンが見直され始めたのです。
それを機に低農薬農法が開発され、皮ごと利用できるレモンが実現しました。

この栽培法を最初に実施したのが広島県の瀬戸田町であり、現在も続けられています。
同時に、広島はレモンの生産量一位で国産の6割を占めています。

2008年に「広島レモン」は地域団体商標に登録され、今やブランドになっています。
主な生産地は呉市大崎上島町などの島嶼(とうしょ)部やしまなみ海道です。

なかでも、尾道市瀬戸田町生口島(いくちじま)は一大特産地です。
島の別名はレモンアイランドで、畑が広がる地域はレモン谷と呼ばれています。

安い時期を狙う


国産品はどれも高いですがレモンも例外ではなく、小玉で150円になります。
輸入レモンは二玉で150円ですからその差は歴然ですね。

とは言え250円だった頃を思えばかなり値下がりしています。
場所や時期によっては一玉50円以下で購入できることもあるようです。

食の安全を意識する人が増え需要が以前より伸びたためでしょうか。

生産量が今より増えれば更に値下がりするかもしれません。
大型店であれば瀬戸内産が置いてあるはずなので、ぜひ手に取ってみてください。

因みに訳ありレモンは外国産と同じくらいに安いものの、価格が変動します。

例えばシーズン終盤になると、数量が少なくなるため値上がりします。
逆に旬の時期に合わせて注文すれば、最安値で入手できるはずです。

それでも常に無農薬商品を利用するのは金銭的に負担が掛かります。

皮を使う時だけ買うという風に自分で線引きをしましょう。
また、産地へ旅行に行った際に現地購入するのも得策です。

やっぱり旬が一番おいしい


国産は7月~9月がハウス栽培で採れたもの、10月~5月は露地ものが出荷されます。
店頭では10月~11月に青いレモンが、12月~5月まで黄色いレモンが並びます。

レモンは春に開花して秋に実が付き、青いうちに収穫されます。
収穫を遅らせたり収穫後に貯蔵すると次第に黄色に色づいていきます。

このように露地栽培の収穫が10月に始まるため、レモンの旬は秋から冬と言われます。

5月や6月にお店で見るのは、主に収穫後に冷凍貯蔵していたものです。
このストックが尽きる真夏は国産レモンを入手しづらくなります。

ハウス栽培のものありますが数が少なく高価です。

それもあり、夏場は外国産レモンで商品棚が占められます。
特に南半球のチリは6月~9月が収穫最盛期にあたり、この端境期を補うのに貴重です。

ところが、鮮度保持フィルムのP-プラスが登場し市場に変化が見え始めました。
このフィルムで個包装すれば、半年以上も鮮度を持続できるというのです。

これにより一年を通して出荷可能になり、暦の上での旬は無くなるかもしれません。

とは言え、無農薬商品をお手頃価格で購入できる時期は今も限定されています。
買い時という意味での旬はこれまでと同じく秋から冬です。

とりわけ香りと栄養が詰まっているのは、採れたての10月から12月のレモンです。
風邪予防も兼ねて、是非ともこの時期に食べてください。

まとめ


✔ 鮮度が落ちると栄養価も落ちるため、色つやの良いものを選ぶ。

✔ ワックスよりも防カビ剤を気にすること。
  輸入レモンは、ノンケミカルと書かれたものであれば安心。

✔ 国内ブランドは広島と愛媛。
     収穫時期に現地購入するのもおすすめ。

✔ レモンの旬は秋から冬で、シーズン初期のグリーンレモンは酸味が強い。
  緑のレモンは香りがよく、黄色のレモンは仄かに甘みを感じる。

✔ 皮の色や産地で使い方にバリエーションがある。
   甘味の強いマイヤーは使いどころに注意が必要。